オニオングラタンジュース

感想文はネタバレを含むってお母さん何度も言ったよね

映画「劇場」見た。これめっちゃ好きなやつだ。他人には全然薦められないけど。

演劇を目指して脚本を書き劇団を立ち上げた主人公が、ボーイミーツガールして共依存に陥っていく話。まず主人公がほんとにダメ。クズ。人見知りは仕方ない。人に合わせようとしないのがダメ。働こうともしない。プライドが高すぎる。自分でもそれじゃあダメなのはわかっていて、そんなモノローグが聞いていてつらい。周りへの後ろめたさというのはどうしてもあって、でもそれを素直に表現することはなかなかできなくて、いっそう我が儘な振る舞いになってしまうことは理解できないわけでもなくてつらい。そんな痛々しいシーンが2時間近く続き、途中で何度か停止せざるを得なかった。つらい。

たぶんこの二人の関係と、主人公の独白が続くシーンは、退屈に、あるいは苦痛に感じる人が多いだろうと思う。でもこれはロマンチックであってはいけないし、暴力的であっても違う。この圧倒的にクズであり、でもまったく共感できないわけでもない絶妙なラインが素晴らしく、でもその絶妙さがちょうど刺さる人ばかりではないだろうし、だからあまり人に薦められる作品ではない。でも私にはグサリと刺さる。山崎賢人ってこんなに演技うまかったんだと思わされる。

最後のオチも、ごくありふれたものであって特別に巧みな展開とは言えないが、私は好きだ。満員の会場はごく小さな箱で、一発逆転がなされたようなものではない。相手に依存した生活から立ち直り、歩き始めたに過ぎない。もし成功の物語があるとしたら、それはここから始まるのである。