オニオングラタンジュース

感想文はネタバレを含むってお母さん何度も言ったよね

2024冬アニメ

何にも書いてなかったから、昨冬アニメについてでも書こう。

フリーレンはもう何度か書いてるからいいや。

姫様拷問の時間です、良かったな。この熱々のピザを食べたかったら王国軍の秘密を話せみたいなライトな拷問が毎回繰り返され、それに姫様は尽く屈してしまうコメディ。毎回当たり前に屈するので、そのことをすらネタにして、そういうリズムの良さもよかった。だから永遠に続けられるタイプのコメディではないけど、1クールは十分に楽しめた。

 

もうひとつ楽しみに見てたのは、キングダム。春秋戦国時代の秦の村の少年が天下の大将軍を目指す話が、3期か4期目くらい。何人隊の隊長だとかどこに攻め込んだ何とかの戦いだとかそういう細かいことは覚えてないんだけど、そういう細かいことを書かないとストーリーについて書くことが無いな。昨期は桓騎将軍の底知れなさを描いたシーズンで、ほんとに得体が知れなくて良かった。 アニメーションはやっぱりいけてないんだけど、もう慣れたのか、あるいはこれでも少しずつ良くなっているのか、以前ほどには気にならない。

 

佐々木とピーちゃんも、なんだかんだ最後まで見れた。買ってきた文鳥が、異世界のなんかすごかった魔術師で、両世界を行き来しながら活躍していく話。面白そうな設定だとは思ったけど、何のスリルもなくすべてがうまくいく、3つ巴になったところで特にドキドキすることもない。それでもなんとなく最後まで見てしまうくらいにはよく作り込まれている。

 

あともう1期前の話になるんだけど、アンダーニンジャが良かった話を書こうとは思っていたんだけど、いつの間にか時が過ぎていて、もう書くほどのことを覚えてない。現代に生きる忍者の話で、その中でも一際突飛な忍者が主人公。物語がすごく練られているのか、あるいは逆に場当たり的なのかよくわからなくて、状況が二転三転するし、強キャラぽかった奴もあっさり死ぬ。そもそもそんなシリアスな話だったんだ。そうして続きが気になるところでアニメが終わってしまったのだ。

フリーレン読んだ

葬送のフリーレンの原作が公開分まで追いついた。アニメでなぜか魔族だけ可愛く描いてたの、原作からしてそういう描き方してるんだというのがまず驚く。それと、アニメ以上に物語がさくさく進んでいくのもちょっとした驚きだった。原作だとゆっくり描いているものが、アニメになるとさくさく通り過ぎていくことが多いイメージだったのに。

物語のヤマとしては、やはり黄金郷のマハト。あるいはデンケンの物語と言ってもいいのかもしれない。デンケンが1級試験を受ける理由となっていた故郷の街の物語であり、そこに封印され続けているマハトの過去を巡る物語。なんだけどこの漫画の主人公はフリーレンであり、彼女は徹底して魔族とは言葉で人を欺く魔物あり魔族と話をするだけ無駄であるという主義をとり、それを貫いて解決に至るので、結局は魔族に心なんて無いんだという話だったとすることもできるんだけど、だけどもこの80年間のマハトの記憶を丁寧に描くことで、ただ欺くだけが魔族ではないんだと思わされる。その描き方が、提示の仕方がうまいんだよな。

ヒンメルが理想の夢に落ちたときもそうだ。我々はヒンメルのフリーレンへの恋慕を強く感じながら、しかしいまだ確信できないままでいた。そこにこの花嫁姿のフリーレンの登場だ。もうかなり決定的じゃん。でも、そのことについて、直接の言及は一切ないんだ。理想の夢として登場させておいてまだ、無い。でも、そういうところが好きなんだよなあ。

フリーレンが27話 人間の時代

1級魔術師の最終試験で、試験内容が変わってゼーリエによる面接になる回。

フランメ先生の一番好きな魔法である、花畑を出す魔法をフリーレンも好きである話は前にもあったと思う。それは先生とフリーレンのエピソードであったはずだ。それが今回はヒンメルとのエピソードで語られる。正確には、語られはしない。おそらく、フリーレンが思い起こしただけだろう。でも、ここで思い出されたということは、それがあの魔法を好きな理由でもあるのだろう。めっちゃいい話やん。

フリーレンの投げキッスでヒンメルが卒倒するシーン、あれはネタだろうと思っていた。実際にコミカルな描写だった。だけど、もしかすると本当に卒倒したのかもしれないなと思った。ヒンメルはそれほどに、年上のお姉さんに対してずっと憧れを抱き続けていたんじゃないか。

ところで、フリーレンには人間がわからない。人の感情を理解するのが苦手なところがある。エルフという種族がそういうものなのかもしれないし、フリーレンの特性なのかもしれない、あるいは単に何百年も一人山に籠もっていた故かもしれない。とにかく、フリーレンには得意ではなく、ヒンメルとの旅の中で何度となく諭されながらも理解に至らず、そうして今またもう一度同じ道程を辿っている。そういう物語であったはずだ。だけども不思議なことに、ゼーリエの思考については驚くべきほどに正確に把握できている。人間のことはわからないけど、エルフのことならわかるんだろうか。それとも何か別の理由があるものなのかしら。

お姉さまと巨人4巻

お姉さまと巨人が4巻を読んだ。めっちゃ駆け足で展開進んでくやん。ジュンコを倒して、と言えるかどうかは兎も角として、まあ退けて一段落するかと思いきや、どんどん敵が出てくる。ジュンコと戦っている最中にもよくわからん奴ら出てきてたしな。

私の好みとしては、そんなに戦い続けなくてもいいのに、というところではあるんだけど、戦い続けながらも、それでも過度にシリアスになり続けないのはとても良い。さっきも書いた途中で出てきたよくわからん教会騎士とかいう奴ら、あの出てきた途端やられるだけの奴ら必要だった? カルラさんがエイリスの問いに真摯に答えても、姉妹そろってあんな反応だし。だから巨神とか戦艦とかよくわからない概念がよくわからないまま物語がどんどん進んでいってしまっても、さほど取り残された感もなく、安心して読み進めていくことができる。

あと、表紙裏なのかな、制服姿のお姉さまとジュンコが二人で笑ってるイラスト、あれめっちゃいいよね。

Fate/Apocrypha見た

Apocryphaのアニメをプライムビデオで見た。この作品、モーさん主人公じゃなかったのか。

モーさんも思っていたほど叛逆者じゃないし、アストルフォくんも思っていたほど理性蒸発してなかった。Fateのくせに、話の通じる良い人が多い。というよりかは、わざと特定のキャラクターにのみ肩入れしないように描いているフシがある。協会に反旗を翻したユグドミレニアが悪役かのように物語は始まるが、いつの間にかその描写は覆っている。また、その後の悪役となるシロウの願望「全人類の救済」というのは、普通に考えて善人のそれなのだ。目まぐるしく、というほどではないにしても、度々と視点を変更させられて、少なからず混乱しながら視聴していくこととなる。とはいえApocryphaを見る者は、聖杯がどういうものであるか既に知っているはず。つまりはシロウの望みも素晴らしい結果をもたらさないことを見る者は皆知っているのだ。

知っている、といえばジルだ。Zeroではキャスターとして現界した、あのジャンヌ狂のジルが、今作ではシェイクスピアの力によって召喚される。やはりジャンヌを強く慕うが、騎士の姿のまま、理性を保ったままであり、それでもあの声でジャンヌに呼びかけるのはなかなかに胸が熱くなる。ただ姿を召喚しただけであり、戦闘能力なんてまるで無いはずのジルが、ジャンヌに旗を託されて、必死にジャンヌを守る様とか最高だよね。でもそこで、ジルに旗を預けて自らは剣で戦うはずのジャンヌが、剣の持ち方がおかしい。あんな使い方するんなら、剣である必要なくない? 旗でも良かったじゃん。

結局のところはバトルロワイヤルであり、特別に素晴らしい物語が描かれているわけではない。Zeroほどに人間ドラマが優れているというわけでもない。それでも各話は十分に面白いし、アニメーションも十分に素晴らしかった。

ブルーピリオド読んだ

ブルーピリオドが15巻読んだ。芸大の同級生の実家で公募展の作品つくりに行く回。

現実をそのまま受け入れられなくて、妙な解釈を付け加えてしまうこと、あるよなあ、ってなった。出来事に対して、それぞれみんな違った受け止め方をして、それが間違っていたりもするけど、まあだいたいは明確に間違っているとは言い切れなくて。ありがちな物語だと、勘違いに気づいて認識を改めて、わだかまりが解決したりしがちな印象だけど、現実にはそんなキレイに片付くことはあまりない。そんな劇的な変化なんてなくて、少しずつ認識を修正したりしなかったりしながら、みんなちょっとずつ違った解釈を抱えながら生きていくもの。でもそれでは物語が面白くない。異なった解釈を抱え続けたままでは、面白い物語がつくりにくい。それがブルーピリオドでは、それぞれの思いを抱えたまま歩いていく様を描いた美術作品を製作する、というという物語を描くことでエキサイティングに仕上がっている。蟹江さんも別に守銭奴でもなければ、真田さんのために尽力しているわけでもないんだよなあ。

あと、それを部外者が描くこと、っていうのもあって面白かった。部外者が踏み入っていいのかな、というのもあり、また、部外者の視点じゃないと描けない、というのもある。

葬送のフリーレンを見ている

ぜんぜん書いてなかったので何か書かないとと思って開いた。

最近何か見たっけ? 月並みの意見にはなるけども、今期のアニメだとフリーレンはいい作品だと思う。

魔王を倒した勇者パーティーの魔法使いであったエルフが、勇者の死をきっかけに彼のことを、あるいは人間のこと、自分のことを知るための旅に出る話。主人公は感性が独特で、冷めたところもあるけれど、決して無感情な訳ではなく、所謂感情を取り戻す的な物語とは少し違う。彼女は彼女なりに考え、感じ、迷って生きてきて、しかし勇者の死を通して、彼の言動を思い起こし、もっと知るべきだった、考えるべきだったと気づき、そうして行動に出る。だけどもやっぱりどこかほんわかしていて、それなのに時に何かわかった風な言葉を吐き、そして実際に戦闘では滅茶苦茶強い。人の気持ちは何もわからないくせに、戦闘・魔法には誰よりも長けている、そのアンバランスさがまた良いのだ。

てか滅茶苦茶強いの、思っていた以上に滅茶苦茶強くて、描き方によっては興ざめになってしまってもおかしくないところなんだけど、アニメーションがまた滅茶苦茶良いからちゃんと"良さ"になっていてすごいんだよなあ。大物語もしっかりしていて、各エピソードも面白い、アニメーションも優れていて、文句の付けどころが無い。