オニオングラタンジュース

感想文はネタバレを含むってお母さん何度も言ったよね

年末に読んだナウシカのコミックの話を書いてなかった。ナウシカは映画よりも原作のほうが良いという話は学生時代に何人かから聞いていた。描いている世界観がぜんぜん違うから読むべきだと言われていた。それから何年も読まないままでいたけれども、先日ネットカフェに行ったときにたまたま目に入って、せっかくだから読んでみた。
なるほど、これは面白いけど、と思った。たしかに面白いんだけど、これが優れた作品なのかなという気持ちがないわけでもない。ほとんどすべてのセリフが場面の状況か、その人物の心情を説明するものであって、必要性のために喋らされていて、人間性が希薄に思えた。ネームとか、シナリオとか、そういう類いのものとしては面白いけれど、これは完成された作品なのかな。やはりこれは映画の原作なのであって、映画で完結を見たかった。しかし映画で描くには少し複雑すぎるような気もする。
映画のナウシカはわりとシンプルな構図で描かれていて、訴えるテーマもそう難しいものではない。だけど原作漫画では、ただ人類対自然というだけではなく、もうひとつの人類が現れ、それに対して我々はどういった立場から鑑賞するべきなのか明確ではない。それは必ずしも悪いことではないんだけれど、それまでの説教臭い展開からは急に外れることになって戸惑った。そうしたところも含めて、もう少しうまく描けなかったものだろうかと思ってしまうけれど、物語としては十分に面白い。