オニオングラタンジュース

感想文はネタバレを含むってお母さん何度も言ったよね

フリーレン読んだ

葬送のフリーレンの原作が公開分まで追いついた。アニメでなぜか魔族だけ可愛く描いてたの、原作からしてそういう描き方してるんだというのがまず驚く。それと、アニメ以上に物語がさくさく進んでいくのもちょっとした驚きだった。原作だとゆっくり描いているものが、アニメになるとさくさく通り過ぎていくことが多いイメージだったのに。

物語のヤマとしては、やはり黄金郷のマハト。あるいはデンケンの物語と言ってもいいのかもしれない。デンケンが1級試験を受ける理由となっていた故郷の街の物語であり、そこに封印され続けているマハトの過去を巡る物語。なんだけどこの漫画の主人公はフリーレンであり、彼女は徹底して魔族とは言葉で人を欺く魔物あり魔族と話をするだけ無駄であるという主義をとり、それを貫いて解決に至るので、結局は魔族に心なんて無いんだという話だったとすることもできるんだけど、だけどもこの80年間のマハトの記憶を丁寧に描くことで、ただ欺くだけが魔族ではないんだと思わされる。その描き方が、提示の仕方がうまいんだよな。

ヒンメルが理想の夢に落ちたときもそうだ。我々はヒンメルのフリーレンへの恋慕を強く感じながら、しかしいまだ確信できないままでいた。そこにこの花嫁姿のフリーレンの登場だ。もうかなり決定的じゃん。でも、そのことについて、直接の言及は一切ないんだ。理想の夢として登場させておいてまだ、無い。でも、そういうところが好きなんだよなあ。